「在宅勤務が減らない謎」は謎でもなんでもない。10年選手の本音

日経新聞にこんな記事が載っていました。
「在宅勤務が減らない謎」(FT=フィナンシャル・タイムズの翻訳記事)
ゴールドマン・サックスやテスラが週5日出社を義務付け、世界中で「出社回帰」の流れが加速している。それなのに統計上、在宅勤務の水準は極めて安定している。なぜだ? という内容です。
ボクからすると、そんなの当たり前だよね、としか思えないんです。
数字が証明している「安定」
実際のデータを見てみましょう。
カオナビHRテクノロジー総研の2025年調査によると、日本のリモートワーク実施率は17.0%。前年とほぼ同水準です。
東京圏に限ると27.9%。IT・情報通信業界では5〜6割程度と言われています。
コロナ禍のピーク時からは下がりましたが、2024年以降はほぼ横ばいで推移しています。つまり、減るところまで減って、そこから先は減らない。
これが「謎」として報じられている現象なんです。
謎でもなんでもない理由
なぜ在宅勤務が減らないのか。
ボクは10年以上在宅勤務をしてきました。会社初の在宅勤務社員として、制度もツールもゼロから作ってきました。
その経験から断言できます。在宅勤務を一度経験した人は、もう戻れないんです。
これは怠けたいとか、楽したいとかじゃない。
在宅勤務を経験すると、「満員電車で1時間半かけて出社する」ことの異常さに気づいてしまう。「その1時間半があれば子どもを保育園に送れる」「朝の集中できる時間を通勤で潰している」ことに気づいてしまう。
一度気づいたら、もう戻れないんです。
「取り上げられたら転職する」という覚悟
ボクは大企業で働く能力はありません。
でも、小さな会社で小さな幸せのために働いています。通勤時間ゼロ。昼休みに家庭菜園。夕方には子どもを迎えに行ける。
もし会社が「明日から毎日出社」と言い出したら?
転職するしかないでしょう。
これはボクだけの話じゃないと思います。在宅勤務を経験した多くの人が、同じことを考えているはずです。
だからこそ在宅勤務は減らない。企業が「出社しろ」と言っても、人材が流出するリスクがある。結局、リモートワークを維持せざるを得ない企業が残る。
国土交通省の調査でも、テレワーク継続希望率は 82.2% で過去最高を記録しています。8割以上の人が「続けたい」と思っている働き方を、企業が一方的にやめさせるのは無理がある。
企業だって「戻せない」
ここまで「働く側が戻りたくない」という話をしました。
でもね、企業側だって簡単には戻せないんですよ。
特にIT系の会社なんて、そもそもオフィスに集まる必然性が薄い。求人に「フル出社」って書いた瞬間に応募が減る。地方に住んでるエンジニアや副業人材を活用するなら、分散型のほうがよっぽど合理的です。おまけにオフィスを縮小すればコストも浮く。
つまり「リモートワークを続けたほうが経営的にも得」という会社が、一定数残り続ける。これもまた、当たり前の話なんです。
「在宅は生産性が下がる」って本当?
出社回帰を推す人からは、こんな声もよく聞きます。
「若手の育成が難しい」「組織の一体感がなくなる」「生産性が下がる」。
わかります。ボク自身、在宅で後輩を育てる難しさは身をもって感じてきました。隣の席でちょっと声をかける、あれができないのは正直キツい。
でもね、これって在宅勤務そのものの問題じゃないと思うんです。マネジメントの設計の問題です。
1on1の回数を増やす。チャットで情報をこまめに残す。成果で評価する仕組みを作る。やり方次第でカバーできることがほとんどなんですよ。
「在宅だからダメ」って一括りにするのは、ちょっと雑じゃないかなと思っています。
NTTが証明した「逆張り」の正しさ
出社回帰の流れに逆行している企業もあります。
NTTは「リモートスタンダード制度」の対象社員を3万人から5.3万人に拡大しました。やめるどころか、広げてる。
こういう会社が結局いい人材を取っていくんだろうなぁと思います。
「在宅勤務が減らない謎」の答えは単純です。在宅勤務は、労働市場で標準的な選択肢になりつつある。
一度手にした働き方を、人は簡単には手放さない。それだけの話なんですよ。
小さな会社で、小さな幸せを守る
ボクは大企業のような華やかなキャリアとは無縁です。
でも在宅勤務のおかげで、自分にとっての「いい人生」を送れている。毎朝の満員電車に揺られていた頃には想像もできなかった穏やかな日常です。
だからこそ、この働き方を守りたい。
在宅勤務が「減らない謎」なんかじゃない。もうとっくに、「減らない当然」 なんです。
もしあなたが今、出社回帰の波に飲まれそうになっているなら。
あきらめないでほしいんです。在宅勤務という選択肢は、確実に世の中に定着しています。数字がそれを証明しています。
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